ヒヤくんマジヒヤッキーだな。

1:小説を書く際、資料などは使いますか? 何を使いますか?(例:wikipedia、書籍名、etc)
weblio辞書は欠かせません。思い付きでよく知らないままに単語を使うことがあるので……
辞書以外は特に用意しませんね。

2:プロットやフローなどは用意しますか? 用意するとしたら、どのように立てていますか?(例:メモ書き、StorYBook、etc)
全て頭の中で行っております。緻密なところまで練りきれた瞬間、筆が進みます。

3:小説を、どこかに投稿したことはありますか?
ポケノベにてぼちぼちと。

4:あなたの小説(文章)が一番影響を受けている作家さんを一人挙げるとしたら、どなただと思いますか?
伊坂幸太郎さん。かなぁ。一番最後に読んだ作家の影響を多分に受けるので、ころころ変わります。
世界観であるならば、間違いなく漫画家のTONOさん。

5:あなたの書いた小説に今まで登場した中で、一番好きな情景描写の言い回しを一つ、見せてください。(ネタバレしそうな部分は伏字などで構いません)
 右手が何かに触れている。本だ。ポケモンずかん、と書いてあり、確かピチューというポケモンだっただろうか、黄色いキャラクターが大きく描かれ、他にも色々なキャラが描かれている。ポケモンはやったことが無いから、数年前に第一作が流行り、第二作が最近発売されたことぐらいしか知らない。

去年の夏から7作ほど書いて来て、よさげな情景描写と思える文がこれくらいしかなかった。

6:あなたの書いた小説に今まで登場した中で、一番好きな心理描写の言い回しを一つ、見せてください。(ネタバレしそうな部分は伏字などで構いません)

 よかった。ほっと胸をなで下ろした。
 しかし、状況は一変した。
 気を緩めた瞬間、腹に冷凍ビームが直撃したような衝撃が走った。
 しまった、と思った。体育の授業の時に感じた違和感。体調不良。まさか、こんなところで腹を壊すなんて。


7:あなたの書いた小説に今まで登場した中で、好きな台詞を三つ、見せてください。(ネタバレしそうな部分は伏字などで構いません)

・「進化したての頃、うちのトレーナーに謝られたことがあったよ。『お前がこんなでっかくなるって知ってたら、もうちょっと別の名前考えてたのに』って。
 でも、今となってはポコピーでもいいと思ってる。だって、それで僕にあったポケモン達が笑って、僕に心を許してくれるんだもの。君も笑ってくれた」

・「そうだねぇ。でも大事なのは、案外ストイックとかそういう事じゃないのかも知れないよ」

・「ヒヤくんマジヒヤッキーだな」


8:あなたがこれから小説に書こうとしている台詞で、「今後の見所!」になりそうな意味深台詞を三つ、ここでコソッと教えてはいただけませんか?

「しかし、君はベーコンエッグを焼くのが上手いなぁ。どうして毎日同じ形に焼けるんだい」
「俺は騙されないぞ。お前の顔の下で、何を企んでる」
「お前、自分に嘘ついてるだろ。陽気なフリをして、臆病な自分を隠そうとしてる」


9:小説を書く時に、音楽は聞きますか? 聞くとしたら、どんな音楽を聞きますか?
あまり意識しなくて済むような、適度に好きな曲を聴きます。スムースジャズとか、ボカロとか。ある程度流した所で、切ります。そこからが本番。

10:日々の生活で、「あのキャラならここはこうするだろう」「あのキャラならこれを選ぶだろう」といった妄想が展開されることはありますか?
イベントの中のセリフ回しぐらいでしか。

11:これから小説を書き始めようとしている方に、何かアドバイスがあればどうぞ。
実際に、色んなことを経験して下さい。背伸びしようとも、小説には経験分しか出ません。

12:ありがとうございました。 もし良かったら五人くらいにパスしてはいただけませんでしょうか。
やめておきます。ここ誰もノベリストには教えてない筈なので。
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# by junjun-no2 | 2011-04-13 11:53

子どもの頃夢に見ていた

あなたのことが好きです、嘘です。
だけどホントは、んんんんん~。

エイプリルフールはこれくらいにしておきましょう。

核酸ともぐさんとカラオケ行ってきました。
昼はビリヤード、夜はカラオケ。

アニソンが飛び交ってましたね。

二人ともよく知ってるなぁ。

スタドラは見てみたい。

核酸は後半しゃっくりにより半分以上リタイアしてました。

男性ボーカル曲をあまり知らないのでこういうとき危ないですね。

カラオケで踊れる曲が一つできました。

ジャングルポケットです。


とりとめもないままに、さようなら。
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# by junjun-no2 | 2011-04-01 02:50

鏡の国のブルーはまるで氷みたいな迷路。

あぁ、今週まどか無いのね……orz
もともとグロデスクな話だから仕方ないです。うん。
ポケモンにしろまどかにしろ、いいところだったのになぁと思ってしまう自分がいるのは事実です。

でも、今はどちらかと言えば笑いの方が必要ですよね。
笑えばみんな元気になるのです。脳にも身体にもいい。疲れも取れるし、ストレスも軽減できる。
だからテレビがバラエティから復活しているのはいいことです。

万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ・Ⅱを読みました。
怒涛の展開で思わず時間を忘れます。
莉子は究極のゼネラリストですね。こんな人になりたい。

あんだけ巨大な事件を起こしといて、全体の95%くらいまで手詰まり感が続いていて、解決しても消化不良な感じが否めません。
ギミックの完璧さは素晴らしいです。が、救いが無さ過ぎて辛いラストでした。爽快感プリーズ!涙

面白すぎて2日まるまるかけて読んでしまいました。良ければドウゾ。
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# by junjun-no2 | 2011-03-18 01:01

繋がる世界。

友人のすすめでDropBoxというファイル同期アプリを導入したのですが、どうも使い方が分からない。

調べて見れば、オンラインで同期するそうです。つまり、インターネットを通じてファイルを共有する。

さて、私の端末はipod touch。ネットに繋げるには、別にwi-fiを導入しなければならないのですが……

残念なことに、私はそんなもの持っておらんのですよ……

これからwi-fi環境を買うつもりもないので、結局宝の持ち腐れに終わってしまいました。

ごめんよ友人K。
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# by junjun-no2 | 2011-03-10 03:03

明日

就職活動。
ES。

書かねばならぬ。でもどうやって?

読んでも読んでもわからない。

とりあえず書いてみるべ。
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# by junjun-no2 | 2011-02-27 01:32

人の下痢路を邪魔する奴は、


 思春期というもの、ルールなんてくだらない、破ってみたい、と一度は思うことがあるだろう。
 例えば、学校の制服とか、スーツとか。何でこんな30度を超す暑い日にわざわざ汗をかくような服を着なきゃいけないのだ。世の中の社会人たちもそう思っているに違いない。私服で来れたら幾分か楽なのに。そう何度思ったか分からない。
 うだるような暑さの中で、午前中の授業をしのぎ切る。斜め前に座っているヤツの貧乏ゆすりが激し過ぎて、集中なんて出来そうにない。だめだ、精神の限界。顔を伏せ、訳の分からない先生の授業からドロップアウトする。
 制服のワイシャツのボタンはほぼすべて外され、赤いシャツがモロ出しになっている。

「だがしかし」
 思わず顔がにやける。昼休み、いつもの穴場、音楽室で友人数名と飯を食った後のことだ。この時のために、おれはある仕込みをしていた。
「ツザッキー、独り言気持ち悪い」
「お前たちもちょっとつっつけばいいじゃん?」
 俺は水筒を取り出して、友人に見せる。
「さっきお茶を俺くれって言ったくせに、水筒持ってんじゃねぇか」
 貰ったのは事実である。
 もちろん、この中身はお茶ではない。かと言って、炭酸水でもない。
「水筒だからと言って、お茶とは限らないだろ」
「じゃああれだろ? 熱湯だろ」
「いや違うよ」
「ツザッキーまじヒヤッキーだわ」
「……!?」
 ポケモンの第五作が出てから髪型が似ているというだけで何故かそんなことを言われるようになってしまった。一年前はギャル男と呼ばれていたのに、何の因果だろうか。ギャル男もヒヤッキーも否定はできない。
「何? 熱湯かけて欲しいの?」
 満面の笑顔で言うと、
「ヒヤ顔やめて怖い」
 と返された。
 勿体ぶってみたくて、友人の質問には答えない。その代わり、かばんの中からビニールに入った紙コップを取り出す。友人たちはこっちの様子を少し気にしながら、会話をつづけている。そして、俺は水筒のふたを開け、コップにその中身を注ぐ。
 ででーん。
 勘違いしないで頂きたい。誰かのケツがしばかれる訳ではない。
 水筒から、シャリシャリとした音がこぼれてくる。
 そう。中身はかき氷だ。
「……」
 思ったより仲間うちの反応が薄い。ドヤ顔したかったのに、予想外で少し凹む。
「……食う? シロップもあるけど」
 そして、かばんの中から、赤のボトル、黄色のボトル、青のボトル、紫のボトル、緑のボトル、選べる五種類の味を取り出す。
「お前ガチかよ」
 ここで、ようやくみんなの笑いを一つ取ることに成功した。お前何やってんだよ、と笑われることで、自分のプライドを満たすというのは常套手段。無意味なことは、ふとした弾みでしてみたくなる。 無論、自分で食べたかったのもあるが。
「じゃあヒヤ君レモン貰っていいっすか」
「150円になりまーす」
 手を出そうとした瞬間、頂きまーすと言って高速で食われてしまった。
「で、何で持ってきたの」
「食べたいからに決まってるじゃんか」
 超がつくほど真顔で言ったら、どんだけ食べたいんだよ、というツッコミが入る。内心ガッツポーズだ。食べたいからと言うのは、半分本当だ。理由の一つでしかない。もう一つの理由が何かと言われたら、笑いを取りに行くためだ。お前芸人になれよ、と言われる時もあるが、それもなんだか違う気がする。
 思った通り、水筒で入れたらなかなかとけないものだ。底に少しだけ溶けた水がたまる程度で済んだ。他の友人たちは食べないようなので、後は自分一人で食べる。
「うん、うまい」
 その後、友人の提案で全部の味のシロップをごちゃまぜにされて一気飲みさせられたりもした。味は濃かったが、暑さは多少吹き飛んだ。甘い。

 五時間目は体育のバスケだ。水泳という選択肢もあったが、友人達はみなバスケ派だったので、流されてバスケを選択した。
 楽しいのはいいが、6限の授業で水泳帰りのクラスメイトの涼しそうな顔をみると、若干の後悔が残る。先公は何故ロッカーにあるシャワーを使わせてくれないのか。一度も使われているところを見たことがない。
 シューズをキュッキュキュッキュ鳴らしながら、ボールを追いかけ、自分のポジションを考える。自分にボールが回ってきて、ここぞとばかりに一気に相手のゴールへと駆け抜ける。ゴールの下でレイアップ。
 ゴールのカベに当たって、すっと網をくぐり落ちる。ピー! とホイッスルが鳴り響く。周りから軽い拍手が湧きあがる。そしてまたコートに戻ろうと、振り返る。

 その時だった。

 何だろうか、この違和感は。
 身体がどことなく落ち着かない感じ。こんなに暑いのに、冷や汗が出てくる。
 試合はもう少しで終わる。走っているうちに違和感は消えるだろう。顔に出さないまま、コートに戻って試合を続けた。
 自分のチームは何とか勝利を収め、違和感もなくなっていた。と言うより、勝負に盛り上がっているうちに、忘れてしまっていたのだ。

「ありがとうございました」
 授業が終わって、礼をして着替える。うちの高校は、体育館から教室まで、やたらと遠い。普通は隣接してたりするようなものなのだが、全速力で走っても教室まで1分はかかる、そんなレベルの距離がある。
 みんなで話しながら着替えたりなんかしていたら、あっという間に次の授業まで残り1分、なんてことも少ない。仲間うちの連中は全く学習せず、チャイムが鳴るというのに小走りで移動する。あぁ、教室に入ったらまた怒られるんだろうか。先公は軽く注意するだけだから、それほどダメージは無く、別に構わないのだが。足取りは少し重たくなる。
「お前ら遅いぞ。次からは気をつけろ」
 とぶっきらぼうな先公の言葉。今から数Ⅱの授業を始めます。起立、礼。
 体育の後に授業を入れるというのはどうなんだろうか。両手両足に乳酸が溜まって、頭もぼうっとしてくる。軽めの運動は脳にいいと言うが、体育の運動は「軽め」とは言い難い。
 学校の授業なんて無駄だらけだ。もっと色々やりようがあるのではないだろうか。それがどんなやりようかって? そりゃあ……
「……じゃあ宿題だったはずの問3の1~3を黒板に写してもらおうか。今日は……滝沢、田中、それから……津崎ー」
 急に名前を呼ばれて目が覚める。と言うより、俺はどうやら眠りかけていたらしい。
 手に汗がにじむ。宿題なんてやった覚えがない。しかも基本から大分飛んだ応用問題で、今アドリブで解けと言われても難しいものがある。何となく意味は分かるが、何となくにしか分からない。
(あ!)
 奇跡が起きた。
 ノートを見たら、問題の答えが書いてある。そうだ、思い出した。俺にしては珍しくやる気を出したあの時だ。一通りちゃんと解き切ったのだ。すっかり忘れていた。
 よかった。ほっと胸をなで下ろした。
 しかし、状況は一変した。
 気を緩めた瞬間、腹に冷凍ビームが直撃したような衝撃が走った。
 しまった、と思った。体育の授業の時に感じた違和感。体調不良。まさか、こんなところで腹を壊すなんて。
 何とか我慢して、この場をやり過ごさねば。チョークを持つ手が震えている。きれいに書くなんてことは考えず、とにかく自分にとって無理な動きにならないように字を書く。
 やたらと他のクラスメイトの記入音が鮮明に聞こえる。チョークで書いた際に落ちるほんの少しの粉にまで、意識がいく。
 どうする? 書き終わってから、先公にトイレに行きたいと素直に伝えるべきか?
 俺は心の中で首を振った。
 クラスメイトの仲間うちは、俺をヒヤッキー呼ばわりしたりすることから分かるように、俺をやたらイジってくる。今行けば後で何を言われるか分からない。
 奴らに気付かれないように、授業が終わってからこっそり行くことにしよう。
 何とか文字を書き終わって、席につく。
「はい、それでは答え合わせでーす」
 マズい。先公が何を言っているかが聞きとれなくなってきた。
 精神は一瞬の油断も出来なかった。頭の中で思考を続ける。授業が終わったら、どのトイレに突入するか。最短ルートはどれか。まず、教室を出て、左に行く。走ってはさすがにメンツってものがある。
 二つ分の教室を抜けた先のトイレのドアを開ける。入り口は取っ手が無いから、それを掴んで強引に曲がることは出来ない。自力で足にブレーキをかけ、押す。
 ドアを必要以上に開いて、壁にぶつけたとしても、仕方がない。そこまで来たら、なりふり構っている場合ではない。
 細かいタイルを抜けて、洋式の方のドアを開ける。扉は全部で確か3つ。
 一つは洋式。一つは和式。一つは用具入れ。洋式はどれだったか……そうだ、手前の方だ。
 頭の中で思考錯誤するなかで、一つだけ間違いを犯していると言う事に、俺はこの時気付かなかった。

 時間よ早く過ぎてくれ。そう願って、壁にかかっている時計を見る。
(あれから全然経ってない……!)
 俺は茫然とした。口は半開きになって、傍から見ればきっと情けない顔だっただろう(その時はそんなことを考えている余裕は無かったが)。
 時間が過ぎて欲しいと言うときに限って、全く進んでくれない。人生生きていればそういうこともある。例えば、小学校の時に出場した市のドッジボール大会。待ち時間が退屈で退屈で仕方が無かった覚えがある。
 うっ、と、また便意の波が来る。これは冷凍ビームどころではない。ふぶきか。あるいはぜったいれいどか。
 何とか耐えしのいでくれ、俺の腹。
 机に突っ伏して、そのまま時間が過ぎて行くのを待った。

 チャイム。
「キリもいいし、今日の授業はここまでにします。終わります」
「きりーつ」
 委員長の声。立つということ自体がすでに刺激である。
「礼っ」
 ありがとうございました。
 元々みんなだらけた礼をするから、別段おかしく思われたりするようなことはないだろう。
 ウチの学校はHRを昼休み後に行うので、6限の授業が終わればもう帰ってもよいことになっている。せめてもの救いだ。
 焦るな、あまり教室内で走ってはいけない。今はみんな下校用の鞄を持って立ちあがっている。
 こんな時の為に、教科書の類は授業中すでにカバンの中にこっそり詰めていた。みんなが話をして教室に留まっているうちに、先に抜ければいいのだ。
 さあ、出る。出しに行く。授業中何度もシミュレートした通り、カバンを担いで教室を出て、左へ曲がる。押して開ける扉を押して、お手洗いへ直行する。

(何だよ……そんなのアリかよ)
 俺は絶望した。
 トイレのドアが、全て閉まっていた。先客。畜生、やられた!
 力が抜けそうになるところを、カバンを持つ手を握り締めて何とか我慢をキープする。
 何故この状況を想定しなかった、と自分に喝を入れる。
 しかし、腹を下している人間にとって、立った状態でじっと待つことは何よりの苦痛だ。どうする、等とは最早考えない。
 歯を食いしばって、トイレを出る。
「おーい、ヒヤくーん」
 後ろから友人の声。津崎からツザッキーに、ツザッキーからヒヤッキーに、そしてヒヤくんと呼ばれる俺は一体何なんだろうか。とてつもなく固い苦笑いを、友人に向ける。
「何か今日急いでるな。腹でも冷えたんじゃねーの?」
「……まぁ、そんなところだ」
「ヒヤくんマジヒヤッキーだな」
 と言ってドヤ顔をしてくる。どういう意味だかさっぱりわからない。いや、そんなことより俺はトイレに行きたいんだよ。
「それじゃ、またな」
 何とか声を振り絞り、手を振って友人と別れる。
 どうする……!? 正門に向かいながら、俺は必死にシミュレートを繰り返す。
 ここから確実にトイレにありつけるのは、残すところ職員トイレのみ。しかし、入って先生方に見つかってしまった時の気まずい雰囲気を味わうのは、恥ずかし過ぎる。
 俺が教師の事を先生方なんていうなんて、相当精神が参っているな。
 家までの距離はおよそ300m。これくらいなら、走っていけば何とかなるかもしれない。俺は覚悟を決め、走って我が家を目指した。

 俺は走った。ひたすら、アスファルトの道を走った。
 公園を抜け、見慣れた家の横を一軒、また一軒と過ぎて行く。オレンジ色の夕日が、妙に冷たく感じられる。
 下校する生徒が何人もいたが、そんな奴らは追い抜かす。呑気にペチャクチャ喋りながら帰ればいい。俺はトイレに行きたいんだよ。邪魔さえしなけりゃ。
 あとこの大きな道路を渡れば、我が家のあるマンションだ。本来はもう少し右にある信号を渡らなければいけないのだが、まっすぐ行くのが最短ルートなのだ。しかし。
「おいおい」
 いつになく、多くの車がスピードを出して抜けて行く。こんな時に限って。小さく足踏みをしながら、車の流れが途切れるのを待つ。
 7台、8台、9台……いくらなんでも多すぎる!
 本当に限界が近い。10台目の車には、申し訳ないが手を上げて渡らせてもらった。赤い車は急ブレーキして、クラクションを鳴らした。構っている暇はないので、俺は振り返らずに走り続ける。

「ハァ、ハァ」
 やっと着いた。我が家のあるマンション。エレベーターの上ボタンを押し、降りてくるのを待つ。ボタンの上の回数表示を見ると、今上の階へ上昇中だった。
(早く、早く降りて来い)
 せめて、今乗っている人が低い階の住人であってくれ。
 だが、俺の願いもむなしく、最上階の12階までしっかり上がって行った。頼むから、早く降りて来てくれ。何度も心の中で呟いた。
 数字が一つずつ、同じテンポで減って行く。7、6、5。
(よし、そのまま)
 今日はとことん思い通りにならない日らしい。エレベーターは5階で停止している。誰だか知らないが、早く降りてきてくれ。いよいよ本格的に尻を締めなければいけないレベルに達している。腸の内部ではもう抑えきれない。呼吸が乱れている。それは走り疲れただけじゃないことは間違いない。
「こんにちは~」
 小さい子供を2人連れたお母さんが降りて来た。子供を抱えながらベビーカーを押すのに苦労している。重労働だ。
 俺は軽く会釈する。口を開ける元気でさえ、もう残っていない。
 7階、7階。7のボタンを探す。手が震える。少しでも意識を向けてしまってはいけない。もう少しの辛抱だ。
「あっ」
 押し間違えた。7の一個下についている、5階のボタンを押してしまったのだ。



 その弾みだった。腸の中で、絶望の音が聞こえた。ダムの決壊。じわれ。つのドリル。ぜったいれいど。
 終わった。
 それ以上の言葉は出てこなかった。
 悲しい気持ちはなかったのに、なぜか涙が溢れそうになった。
 扉が開かれた時、太陽の眩しさが目に直接入って、思わず目を閉じた。
 せめて、職員室トイレに入るとか、授業中に手を上げるとか、成り振り構わない行動を起こすことができたら。
「終わった……何もかも」

 ヒヤッキーは倒れた!
 ツザッキーはもう戦う術が残っていない!
 ツザッキーは目の前が真っ白になった!
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# by junjun-no2 | 2011-02-27 01:30 | 小説

不思議なあの子は素敵なこの子 前編

冬企画:テーマ「もう一度」

 マサゴタウンのナナカマド研究所。ここがそう言う名前だと知ったのは、ずいぶん大人になってからのことだ。小さい頃のぼくにとっては、生まれて育ったところ、というだけだった。
 いろんなポケモンたちがいるけど、みんなぼくと同じくらいの年頃。
 お母さんやお父さんはいなかった。代わりに人間の研究員さんたちが、僕たちのことをずっと見てくれている。それから、お守りをしてくれるフローゼルおばちゃん。
「もう少ししたら君たちも大きくなって、トレーナーさんと一緒に冒険するんだ。こことはお別れだけど、きっと大丈夫。早く大きくなってね」
 人の言葉はずっと聞いているから何となく分かる。ある日、研究員のお姉さんは僕にそう言い聞かせてくれた。
 研究所の中のモンスターボールがぼくの部屋、ってことになる。朝になったら起きて、みんな外で遊ぶ。研究所を出れば公園みたいな広場があって、小さなポケモンたちが遊べるようになっている。砂場にジャングルジム、でっかい機関車、滑り台、なんだか登ってみたくなるオブジェ。
 一日中、ここの公園で遊んで、日が暮れたらごはんを食べて研究所のボールの中に帰る、そんな毎日を繰り返していた。
 ぼくもいつかは、ここを離れて、旅に出る。森までかな。山までかな。それとももっと、遠くかな。
 遠くに見える山を眺めて、たまに思いを馳せていた。

「なぁなぁ、これどこまででっかくなるかな」
 ヒコザルくんが嬉しそうに息を荒げて、砂場の山をぼくに見せた。木の枠で囲まれて、少しへこんだ砂場。その真ん中に、ちょっと分かるくらいの小さな山が作られた。乾いた周りの土と違って、掘り起こした黒い土だ。
「ポッチャマもでっかくするの、手伝ってよ」
 ヒコザルくんは指のある手で土の山を指して、ぼくに言う。
「いいよ」
 そう言って、ぼくはぺたぺたとヒコザルくんの後を追う。ヒコザルくんにはかなわない。ぼくはあんなに早く走れないから。
「じゃあ、おれはこっちの土を持ってくるから、ポッチャマはそっちな」
「うん、分かった」
 僕は頷いて、足元の土をかき集める。ぼくの手に指はないから、何かをすくったりするのはちょっとむずかしい。とりあえず、土を掘ってみる。後でどうすればいいかなんて、思いつかないけど。
「ふう」
 一息ついて、ふと顔を上げたら、知らない子が立っていた。水色の体に、大きな耳と、黄色い目。四本足なのは、友達のナエトルくんとちょっと似ているかもしれない。砂場のすみっこのほうで、こっちを見たり、目を逸らしてみたりしている。どうしたんだろう。
「おい、ちゃんと掘れよ」
「あ……う、うん」
 ヒコザルくんがきいきいと大声を上げる。ぼくは思わず気の抜けた返事をして、また掘り始めた。やっぱり、ヒコザルくんにはかなわない。怒ったら、うるさいんだもの。
 しばらく掘ったところで顔をあげると、まだあの子はそこに立っていた。そろそろと砂場に降りて、申し訳なさそうに脇でひとり、前足で砂に絵を描いて遊び始めた。
 ぼくの両手はいつのまにか止まっていた。気がついたらあの子のことをぼうっと見つめていた。
 フローゼルおばちゃんが優しい声で言い聞かせてくれたことがある。どんなときでも、みんなで仲良くやるんだよ。
 いま、それを思い出した。

「ねぇ」
 僕は声を上げてあげてみる。恥ずかしくって、声が上ずったかもしれないけど、しっかり息を吸い込んだ。
 あの子はこっちを向いてくれた。
「一緒に遊ぼうよ」
 心臓がどきどき言ってる。断られたらどうしよう、と思って、体が固まった。あの子の目を見て、動けなくなってしまった。
 でも、あの子の顔は、ぱぁっと明るくなって、
「うん」
 って返事をしてくれた。
 明るくて優しそうな声。こんな声なんだ。ぼくの胸の中まで明るくなっていった気がした。
「今ね、砂でおやま作ってるんだ。一緒に大きくするの、手伝ってよ」
「分かった。土掘るのは任せて」
 金色の目をぱっちり開いて、自信満々にあの子は言った。前足で土をかいて、山にかぶせていく。あっと言う間に、あの子の足元の土は随分深くまで掘られてしまった。
 あの子の体は全身水色だと思っていたけど、水色なのはお腹の辺りまでで、それより下は黒に近い灰色をしていた。ちょっと驚いて見とれていると、顔に土がべしんと当たって、ヒコザルくんが笑いだしそうになっていた。ぼくはちょっと不機嫌な顔をした。でも、土がシャワーのように掘り出されていく様子が面白くて、すぐにまたそっちに目を奪われた。
「すごい」
 一度に同じ方向から土をかぶせたから、少し縦長になっちゃったけど、それでも山は目に見えるほど大きくなった。
 前足を半分くらい真っ黒にしたあの子は、ふう、と一つため息をついて、しっぽをふっと揺らした。
「こんなもんかな」
 ぼくはくちばしをぽかんと開けて、その場に突っ立っていた。水色のあの子の姿が、どういうわけかきらきら輝いて見えた。
「すごいすごい! もっとやってよ」
 僕は自然と声を上げて、あの子に顔を近づけていた。
「いいよ、今度は……こっちからやろっかな」
 ちょっと場所を移動して、後ろを向いて前足で掘って行く。黒い土が宙を飛んで、ぼた雪のように砂山に積もっていく。
「わぁ」
 ぼく思わず声を漏らした。
 砂場のそばで、ボール遊びをしている子たちが騒いでいる。ちょっと近くの方で、おーい、俺も混ぜてくれよ、と言う声が聞こえた。ふと横を見ると、ヒコザルくんがいつのまにか、いなくなっていた。
 でも、水色のこの子と一緒にいたくて、気づいていないふりをした。

「あぁ、疲れた」
 四回ぐらい穴を掘ったところで、あの子も息が上がっちゃって、腰を下ろすしかないみたいだった。
「すごいよ、きみ! それ、どうやってるの?」
 ぼくは聞いた。水色の子はなんだか不思議そうな、でもちょっと誇らしげな顔をして、ぼくの方を見つめた。
「カンタンだよ。ほら、こうやってさ」
 山に背中を向けて頭を下げると、足元から土が飛び出してくる。ぼくも真似をして、後ろを向いて、頭を下げて両手の羽で土をすくって後ろで投げてみた。ぽいと軽い力で土は飛んでいくけど、あんなに早くはできない。
「ちがうよ、こうだよ」
 あの子がちょっと不機嫌な声で手本を見せてくれる。ぼくも力を入れて両手の羽を強く動かしてみるけど、やっぱり上手くいかない。
「だから、もうちょっと足を……」
「わぁ」
 あの子が喋ってる途中で、僕は大声を上げてしまった。あの子の後ろに、とても大きな、黒い毛に覆われたポケモンが立っていたから。
「コリンク」
「あ、ママ」
「もう、勝手にどっか行って。探したんだから」
 こんなにでっかいのが、この子のお母さん。それに、この子の名前、コリンクって言うんだ。
 僕はそんなことを考えて、お母さんのことを見つめるコリンクを見ていた。
「こんなに前足汚しちゃって、もう! ウチでキレイにしないと。帰るよ」
 コリンクのお母さんはコリンクの首根っこをくわえて連れて行こうとした。だけど、
「やだもん」
 とコリンクは首をぶるぶる振った。コリンクのお母さんは肩を落として、ため息をついた。
「そんなこと言っても、もう夕方だし、真っ暗になっちゃうよ」
 うー、と唸って、コリンクは下を向く。
「また明日もあるんだから、今日は帰る」
 コリンクのお母さんはそこまで言うと、コリンクも諦めたらしくて、しょげた顔で僕の方を見た。
「……バイバイ」
「バイバイ」
 半分反射的に、ぼくも同じ言葉を繰り返した。
「バイバイ、ちゃんと言えたね」
 コリンクのお母さんは、少し笑って、コリンクの首根っこをくわえて持ち上げようとする。
「ちょっと待って」
 コリンクはぼくの方に近寄って、前足を出した。
「ママが言ってた。ニンゲンの子供は、お別れする時ゆびきりげんまんって言うのをするんだよ」
「へぇ、どうやるの?」
 初めて聞いた。ぼくは興味しんしんで、コリンクに聞く。
「キミの指とわたしの指を合わせて」
 そこまで喋って、コリンクは言葉を止めた。ぼくの手に指はない。
「じゃあ、これでいいや」
 コリンクは笑って、手のひらと羽の先っぽを合わせる。ゆびきりと言うより、握手みたいになった。
「明日もきっと、会えますように。ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのーます! ゆびきった」
 コリンクは高らかに歌い上げて、僕の羽から前足を離す。コリンクのお母さんに帰ろう、と言って寄り添った。
「じゃあ、バイバイ」
 振り返って、またどこかへと歩いていく。たぶん、コリンクのおうちに帰るんだろう。ぼくは追いかけようとして、一歩だけ前に踏み出した。それから、すぐに諦めた。
「バイバイ」
 ぼくはもう一度呟いた。
 その時、胸の奥がじんわり熱くなってきた。どうしよう、とめられない。
 我慢したけど、涙が溜まって、ぽろん、ぽろん、と落ちていった。
「バイバイ」
 明日もきっと、会いたいな。

 夜ボールに入って眠る前、研究所に敷いてある毛布の上で、フローゼルおばちゃんに今日のことを話した。
「コリンクがうちに来てね、一緒にお山作ったんだ。すごいんだよ、穴掘るのすっごい早いんだよ」
 話してるうちに、ちょっと盛り上がってきてしまって、気付かないうちに手足をぶんぶん振り回していた。
「うんうん、そうかい」
 ゆったりした口調で、フローゼルおばちゃんは相槌を打って、頷いた。
「新しい友達が増えたんだねぇ」
 ぼくはなんだか誇らしい気持ちになった。
「でもね」
 フローゼルおばちゃんは小さな指を立てた。
「どんな時でも、みんなで仲良くやってほしいと、あたしは思うんだよ。ポッチャマ、その子と遊んでるとき、最初に遊んでたヒコザルはどうしてたのかな?」
 あ、と声を出しそうになった。ぼくは思い出して、しまった、と思い直した。
「……全然、なんにも」
「おかまいなし、だったんだろう」
 ぼくは頷いた。途中からヒコザルくんのことを完全に無視して、コリンクにばっかり夢中だった。ヒコザルくんに、なんてことをしてしまったんだろう、と自分を責めたい気持ちでいっぱいになった。フローゼルおばちゃんの手が、僕の頭を撫でた。あったかい手だな、と思った。とん、と軽く叩くと、またフローゼルおばちゃんは喋りだす。
「……明日、ヒコザルに会ったらちゃんと謝るんだよ。昨日はごめん、って。いいね」
「うん」
「さ、今日はもう遅いから、寝るんだ。おやすみ」
 背中をぽんと叩かれて、僕は自分のボールに戻った。
「おやすみ」

 朝になって、ヒコザルくんはぼくを見るなり、わざとらしく顔を背けた。やっぱり、昨日のこと、嫌だったんだろうな。
「ヒコザルくん」
 ヒコザルくんどこかへ行こうとする。たぶんぼくから遠ざかろうとしている。ぼくは構わずに続けた。
「昨日は、……ごめんね」
 悪いのは分かってるけど、何が悪いのかをはっきりと言葉に出来なくて、思ったより上手には言えなかった。
 ヒコザルくんはちょっとだけこっちを見て、視線を下に落としている。
「謝ってるんだから、許してあげなよ。男の子だろ?」
 黙っていると、横からフローゼルおばちゃんがヒコザルくんに言葉を投げかける。
 ぼくらはその場に止まって、ヒコザルくんの言葉を待つ。
「分かったよ。いいよ」
 暫くしてから、ちょっとぶっきらぼうに、ヒコザルくんはそう言ってくれた。
「もし今日、あのコリンクが来たとしても、仲良くできるかい?」
 フローゼルおばちゃんの言葉に、ちょっとうつむき加減になって、ヒコザル君は小さく頷いた。
 ほっ、と僕は一息ついて、公園の庭につながるテラス窓の方を見た。差し込む朝日があまりに眩し過ぎて、右の羽根で目を隠す。羽根で影を作って、外を見ると、一匹のポケモンの姿があった。
「おはよう!」
 光が強すぎるせいか、そう言ったあの子の姿は、とてもきらきらして見えた。

 新しく加わった友達は、すぐにみんなの輪の中心になった。とても明るくて、やんちゃだった。フローゼルおばちゃんや研究員の人を困らせるイタズラを思いついたりもする。ぼくもヒコザルくんも、だいたいはコリンクの味方になって、一緒にあれこれ企んだ。誰がやったのかなんてすぐばれちゃうけど、みんな懲りずにまた手を出す。だって、あのドキドキはやみつきになるから。
 コリンクは足も速くて、かけっこさせたらヒコザルくんよりも早い。かけっこでは一等賞だった。 あれから砂山づくりはずっと続けていて、ぼくらの仲のシンボルとしてずっと残しておいた。ぼくらの体なんてすっぽり入ってしまうくらい大きくなった。砂場中の砂という砂は、ひとところに集められて、もうこれ以上大きくならないんじゃないかと思った。
 ずっと一緒にいられたらいいな、と思うけど、夕方になったらコリンクのママが迎えに来て、ぼくらはぎこちなくゆびきりげんまんしてお別れをする。雨の日は来てくれなくて、次の日が待ち遠しかった。昔は好きだった雨も、あまり好きになれなくなってしまった。明日もきっと会えるかな、ってフローゼルおばちゃんに聞いたら、きっと会える、って言われて、ぼくは毎日眠りにつく。

 そんな楽しい日々が終わってしまうなんて、考えたことがなかった。
 終わりは突然やってきた。
 ある日、砂場の山のてっぺんがぱっくり割れて、半分以上崩れて無くなっていたのだ。
「え、なんで」
 朝一番、コリンクが呟いた。
 ショックで何も言えない。とっても大事にしてたのに。悲しさと、残念さが混じったようなものが、胸の奥からこみ上げて来て、それを押さえつけるのに精いっぱいだった。
「どうせ誰かがぶつかって、壊したんじゃないの」
 ヒコザルくんはぶっきらぼうに、軽く呟いて、顔を横に向けていた。まるでどうでもいいみたいに。
 振り返ったコリンクの形相は、凄まじかった。歯を食いしばって、きっとヒコザルくんをにらむ。
「何だよ」
 ヒコザルくんがその目線に気付いた時にはもう遅かった。
 コリンクが体当たりして、ヒコザルくんを押し倒す。
「何するんだ……っ」
 乱暴に、コリンクはヒコザルくんに乗っかって、ひっかこうとしたり、噛みつこうとしたりした。ヒコザル君は両手両足をばたばたさせて、何とかさせないようにしている。
「あんたが壊したのね! ばか! ばか!」
 ヒステリックな声を上げて、コリンクは攻撃する。
「壊してない!」
 ヒコザルくんのパンチが、コリンクに入る。後ろにのけぞった瞬間、ヒコザル君は体勢を立て直し、今度は思いっきりコリンクを殴りつけた。
「俺じゃないもん!」
 裏返る程の大声で、ヒコザル君は叫んだ。
 しばらく取っ組みあっている二匹を、ぼくは何もできずにただ見ていた。
「やめて……ふたりとも、やめてよ」
 声に出してみたけど、届くほどの力はない。泣きたいのか、怒りたいのか分からなくなって、ぼくは、とぼとぼと研究所のボールの中に戻った。
 それから、ヒコザルくんとコリンクのけんかがどうなったかは、ちゃんと見ていないから分からない。どうにでもなればいい、そんなやけっぱちな気持ちで、目をつぶった。
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# by junjun-no2 | 2011-01-31 22:21 | 小説

不思議なあの子は素敵なこの子 後編

 うとうととし始めたその時、誰かがぼくをボールから出した。ボールの外に出ると、知らない男の子が、ぼくのことを見下ろして、笑っている。
「……それで、これがポッチャマだよ」
 研究員のおねえさんが、ぼくを指して紹介する。
 あぁ、そうか。この街から旅立つトレーナーは、ヒコザル、ナエトル、ポッチャマの三匹から一匹選んで最初のパートナーにする。ぼくは今、この男の子に選ばれてるんだな。
「どの子にする?」
 研究員さんが男の子に尋ねる。
「おれ、どれにするか決めてたんです。この子……ポッチャマにします」
 元気に、はっきりとした声で答えた。
「おめでとう、これで君も立派なポケモントレーナーね」
 はい、と研究員の方を向いて大きくうなずく。男の子はぼくを抱き上げ、目をまじまじと見た。ぼくも彼の目をじっと見た。これから、おれがいろんなところに連れてってやるよ。そう言われているような気がした。
「おれ、カズキ。これから一緒に頑張ろうぜ。よろしく」
 カズキはボールのスイッチをぼくに当て、中に戻した。いつも寝床として使っているボール。
「名前はどうする?」
 カズキはうーんと腕を組んで、少し前かがみになる。
「そうですね……あとで考えます。次の街に着くぐらいまでには決めようかな」
「そう」
 研究員さんはにこりと笑った。
「じゃあ、行ってきます」
「頑張ってね」
 一連のやりとりを見ていたけど、これから旅に出る実感なんて全くなかった。ボールの中は今までと全く変わらなかったからかもしれない。
 目の前に見えるあの山を越えて、街を抜けて、このシンオウ地方を駆け巡る。一体何があるのだろう、と期待に胸を膨らませる暇もなく、ぼくはこの子と一緒に街を出る事になってしまった。
 ゆびきりするの、すっかり忘れてたなぁ。
 寝起きのぼうっとした頭で、そんなことを考えていた。


 旅を始めてから、色んなものに出会った。
 コトブキシティみたいな目が回るくらいの大都会があるかと思えば、ソノオタウンみたいに一面に花が咲き乱れる町もあった。
 旅の途中で、仲間が増えた。みんなそれぞれ違う性格で、たまにけんかもしたりするけど、上手く取り持つのが僕の役目となった。正直僕自身バトルが得意っていうわけじゃないけど、でもメンバーからしたら「いてくれないと困る」存在らしい。よく分からないけど、みんなと一緒にいられるのは嬉しいし、いてもいいんだと自信が持てる。二度の進化を経験したけど、大きくなったのが図体だけじゃなければいいな、と思っている。
 エイチ湖のリゾートを抜けて、初めての海。カズキと一緒に歩いて、他のメンバーと一緒に水遊びしたときは楽しかった。砂山を作ろうという話になったとき、ふと、研究所の広場を思い出したりした。旅立つ前の記憶は、半分ぐらいはもう薄れている。赤ん坊の頃のことをちゃんと覚えていられないのは、脳細胞の生まれ変わるスピードがとても速いからだ。だから小さいころのことは、大事なことだけ残って後はどんどん忘れていってしまう。ミオシティの図書館で得た知識を、カズキは得意げに話していた。
 キッサキシティに向かうのは、骨が折れた。大雪になって、道中のポケモンセンターから一歩も外に出られない日が3日も続いた。出たら出たで、雪道に足を取られて中々先に進めない。そんな中、ぼくの体をそり代わりにして滑るなんてアイデアは、誰も思いつかなかっただろうな。
 旅の途中で、やがて気付いた。旅に出ると言う事は、今までの友だちとお別れをすることだ、ということに。もう、ヒコザルくんにも、コリンクにも、会うことはないのだ。時々そのことを考えて、どうしようもない暗い気持ちにとらわれた。


 そんな長い旅も、いよいよ終わりに近づいている。
 シンオウ地方の各地を巡り、ジムバッジを全て集めて、最後にトレーナーが集う場所。ポケモンリーグだ。

 午前中に一回戦を勝ち抜き、今日はもう予定はない。そんなトレーナーとポケモンのために、芝生のスペースが設けられている。
 そこを見ていたら、何となく研究所のことを思い出して、カズキに連れて行ってもらった。カズキは試合に気疲れしてしまったらしく、ベンチでぐっすり眠っている。
 そういえば、研究所の広場もこんな感じだったなぁ。辺りを見回して、そんなことを思う。遊具は無いけれど、色んなポケモンとトレーナーがいて、それぞれ別のことをしている。
 ふと右を見ると、一匹のレントラーが僕のそばに近寄ってきたことに気付いた。
「こんにちは。あなたも一回戦勝ったの?」
 首を傾げて尋ねてくる。声を聞くと、どうやらメスらしい。
「うん。とは言っても、僕はバトルしてないんだけどね」
 あはは、と笑ってみせる。彼女は首を軽く振って、にこりと微笑んだ。素敵な笑顔だと思った。
「バトルは一対一に見えても、一匹一匹がそれぞれ頑張らなきゃ勝てないものだからね。ここにまだいられるってことは、キミもきっと強いんだと思う」
「そうかな。……そうだといいな。ありがとう」
 僕は少し恥ずかしくて、はにかんだ。
「ところで、君はなんていうの……?」
 僕はレントラーに尋ねる。名前を聞きたかったのだが、ストレートに聞くのも乱暴な感じがしてはばかられる。濁しながらの言葉だったが、彼女は意味を汲み取ってくれたようだ。
「私? がおーねって言うの。マスターが付けてくれたんだ。キミは?」
 うっ、と言葉に詰まる。昔は良かったが、今は少し名乗りにくい。
「……ポコピー」
「ぷっ」
 ちょっと小声で言ったつもりだったけど、レントラーの大きな耳にはしっかり聞こえていたらしい。がおーねは噴き出して、顔を背けた。
「ご、ごめん」
「いやあ、いつものことだから」
 目をつぶって、肩を落とす。ポッチャマだった頃はいいけど、エンペルトのごつい体にこの名前は大したミスマッチだ。
「進化したての頃、うちのトレーナーに謝られたことがあったよ。『お前がこんなでっかくなるって知ってたら、もうちょっと別の名前考えてたのに』って。
 でも、今となってはポコピーでもいいと思ってる。だって、それで僕にあったポケモン達が笑って、僕に心を許してくれるんだもの。君も笑ってくれた」
 剣のようなつばさを広げて、おどけて話してみる。
「体まで張っちゃうとは、こりゃ一本取られました」
 がおーねは満面の笑みを浮かべた。笑ってしまえば、いがみ合った相手とも仲良くなれるきっかけになる。
「ポコピーって優しいんだね。小さい頃を思い出すよ」
「小さい頃?」
「うん、私が今のご主人にボールでゲットされる前の話ね。よくママのところを抜け出して、遊びに行く公園があったの。場所は……マサゴタウンだったかな。あの辺り。ヒコザルとか、ポッチャマとかと一緒に遊んでいたの。すごく仲が良かったんだけど、ヒコザルとけんかしちゃって、一緒にいたポッチャマは次の日からいなくなってた。そのあとすぐに、ヒコザルもいなくなってさ。そのまま結局けんか別れ。もう会えないって分かってたら、あんなことしなかったのになぁ」
 ため息をつくように、がおーねは言った。
 僕ははたと気がついた。もしかして、この子は。
「だから私、ポッチャマとかヒコザルとか、その進化系を見かけたら、話しかけてみることにしてるの。もしかしたら、あの時お別れしちゃった子たちと出会えるかもしれないから」
 なるほど、それで僕に話しかけてきたわけだ。
「それで、その子に会ったらどうするの?」
 僕は聞いた。
「そうだねぇ。まず、謝りたいと思う。ずっと楽しくやってたのに、勝手にかっとなって、全部台無しにしちゃったのは私だから」
 僕もがおーねも顔を広場の方に向けて、しばらく、沈黙していた。僕の目線はだんだん下に下がっていく。
 心臓の鳴りを抑えるのに必死だった。間違いない。がおーねはあの時のコリンクだ。まさか、こんなところで出会えるなんて。
 この子は気付いていないんだ。僕が言わなきゃ、この再会はきっと、なかったことになってしまう。
 少し遠くの方で、がおーねの名前を呼ぶ声が聞こえる。がおーねはそっちの方を向いて、立ち上がる。
「あ、そろそろ私行かなきゃ。ポコピー、話を聞いてくれてありがとう」
「う、うん」
 僕は小さな声でそうつぶやく。だめだ。と心の中で声がする。言うなら彼女が行ってしまう前、今しかない。
「あの……さ」
 がおーねは振り返った。なに、と優しい声。僕は顔をきっと上げて、がおーねの目を見据える。
「そのポッチャマ、僕なんだよ」
 僕は言った。
 がおーねは金色の目を見開き、その口は半開きになっていた。
 一言告白したら、胸の奥の方からするすると言葉が続けて出てきた。
「あの時ヒコザルくんとコリンクのケンカを止められなかったこと、ずっと後悔してた。どうしようもなくて、嫌な気持ちをずっと抱えてた。あの時、止められなくて、ごめん」
 本音だった。あんな別れ方なんて、僕の方こそしたくなかった。でも、時間はかかってしまったけど、もう一度会えたから、言いたいと思った。
 がおーねは真顔になって、僕の方に近づく。何をするかと思ったら、頭を僕のお腹に押し付けた。長く伸びた黒いたてがみはふさふさで、くすぐったくて温かい。
「ポコピーが謝ることないじゃない」
 下を向いているから顔は見えなかったけど、声が震えているのが分かった。
 僕はがおーねを傷つけないように、そっと両方の羽根でがおーねを包み込んだ。不器用な僕には、上手く包みこめてなんかないだろうけど、こうするしかないような気がした。すると、小さくむせび泣く声が聞こえた。

 がおーねのトレーナーが焦って迎えにくることはなかったから、まだ時間はあるらしい。しばらくして、がおーねは顔を上げた。
「あの砂山、夜の冷え込みで砂が乾燥して割れちゃったんだって。ヒコザルのせいなんかじゃなかった」
「ヒコザルにはまだ会えてないの?」
「うん。会ったらあの子にこそ謝りたいと思ってる」
「そっか」
 今頃、きっと立派なゴウカザルになっていることだろう。強気なヤツだから、トレーナーは苦労しているかもしれない。あいつにも、いつかまたもう一度会える日が来るといいな。
「それじゃあ、今度こそ、行くね。……その前に」
 がおーねは右の前足を出す。
「ゆびきりの代わり。また会えますようにって」
 ああ、昔も指きりしてたっけ。すっかり忘れていたけど、思い出した。
 人間みたいな指は無いけれど、僕らはかたい羽と大きな前足を通して約束できる。あの時と同じように、僕らはゆびきりをする。
「ポケモンリーグが終わったら、僕らはマサゴタウンに帰るつもり。全部終わったら、また会おう」
 今までにないぐらい、明るい気持ちがこみ上げて、大きな笑顔ができた。がおーねも同じ顔をして、大きく頷いた。
「私のご主人もマサゴタウン出身だからさ、帰ったら会いに行くよ。きっと」
 またね。
 僕は大きな羽根で、不器用に手を振った。
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# by junjun-no2 | 2011-01-31 22:20 | 小説

千回目のキスシーン済んで、口の中もカラカラさ!

日曜日、丑とジャズバーのセッションに行ってきました。

ジャズスタンダードがいっぱいのってる黒本と言うものがあるのですが、事前に買っといて本当によかったと思います。

ホストバンドの方からは「心のパンツを脱げ!」とのアドバイスを頂きました。

最初からカッコよくやろうなんて思わんでええねん、間違えたってええねん、ってことですね。

他の参加者様も、最初はこんな感じだったんでしょうか。そう考えると幾分気が楽になるかもしれない。が、私はそんなに楽にならないかも。



先週はふしぎなあのこはすてきなこのこを延々とヘビロテしてましたが、

今週は恋とマシンガン。今もっとも弾き語りしたい曲。

耳コピして、ある程度固まったところでネットで調べたらコード譜あったし!

と言うわけで、ずっと弾いているのですがメトロノームを鳴らすと全く合ってくれません。

くっそー。

今自分がボーカルやるならフリッパーズ・ギターのコピバンしたいですね。



今日は夕方から西宮ACTAのジュンク堂でずっと立ち読みしてました。

占い本と音楽本の棚が隣り合わせなのは私としては凄く嬉しい。

姓名判断の本読んで、自分の名前ってちゃんと考えられてるなぁと思いました。ちゃんと全部吉数なんですよね。ありがたいことです。

母、結婚する前は大吉数だったのに結婚して苗字変わったら大凶数って……

子どもに名前付ける時は角数をちゃんと考える。

それが一番子どもの幸せを願ってる証拠だという偏見を、私はきっと捨てません。
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# by junjun-no2 | 2011-01-30 21:55

サークル内ではケモノ好きはバレてんですよ。

ふしぎなあのこはすてきなこのこが名曲すぎる。

CDを20枚3000円で借りられると言うので借りて来ました。

Jポップ
スピッツ「◎とげまる」
ミスチル「○SENSE」「深海」
ACIDMAN「○ALMA」
バンプ「COSMONAUT」
フジファブリック「○クロニクル」とベスト盤
谷山浩子「○ねこの森には帰れない」「Memories」
ゆず「FURUSATO」
レミオロメン「花鳥風月」
相対性理論「シンクロニシティーン」
秦基博「コントラスト」
空気公団「○空気公団作品集」
阿部真央「ふりぃ」

ジャズギタリスト
ラリー・カールトン
ジョー・パス
B.B.キング

……多い……
少しでも聞けたものに○つけてみたけど、全然終わらないw

ねこの森には帰れないのB面の最初の語り、何か起こりそうな感じで、いいですね。
とげまるは、スピッツが今時のバンドに見えてきます。40歳とは思えない。
SENSEはやっぱり擬態が凄い。
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# by junjun-no2 | 2011-01-21 00:09