タブトーク・中編

 食事が終わり、フィデルは別室で着替えを済ませた。フィデルはさてと、と呟いた。
「ねえ、タブンネ君。きみを今から育て屋に預けに行こうと思うんだ」
 フィデルは目線をタブンネの高さに合わせ、真剣な面持ちでコールを見つめた。
 真面目な話なのだろう、ということはすぐに分かった。
「きみは誰かに育てられたポケモンなんだよね。
 バトルを見たときに分かったよ。野生には野生の、トレーナーに育てられたポケモンにはそれらしい癖があるもの。……野生で生きることは辛いことだと思う。だから一旦預かってくれる人の所に、きみを連れて行こうと思うの」
 少し、フィデルの目が涙っぽくなっていた。言い分は分かる。だがコールは首を横に振った。振らなければいけない、と思った。
「きっと良くしてくれる。その後なら、野生に戻りたければ戻ってもいい。だから、一緒に行こう?」
 コールはもどかしさを感じていた。この説得を自分が聞いたところで、何にもならない。コールは下を向く。
『僕は、』
 コールは顔を上げ、口を開く。そして、一気に喋り出す。
『僕は行きません。だって、本当は僕は人間なんです。本当に見つけるべきタブンネは僕じゃない。僕をこんな姿にしたやつがいる。フィデルさん、偶然だけど、こんなところであなたに会えてとても嬉しかった。もしかしたら、タブンネを育て屋に連れて行くところまでがあなたの指令なのかもしれません。この任務が失敗することで、あなたの顔に泥を塗ることになってしまうかもしれない。けれど、それは勘違いなんです。本当は、僕がやるべきことなんです。あなたに任せてしまっては、僕はあなたに顔向けできなくなる。だから、あなたと一緒には行けません』
 コールは呼吸を忘れるほどの勢いでまくしたてた。全ての思いを吐露しきったその時、まるでさっきまで潜水をしていたかのように息を大きく吸い込んだ。
『人間には私たちの言葉は聞こえないわ』
 ミミは少し憐みを込めた目で、コールを見つめた。その視線が、コールの心を突き刺す。目のやり場を無くし、俯いた。ポケモンの言葉は人間には伝わらない。当然だ、とコールは思った。だって、自分もポケモンが喋る姿を見たことがない。人間には聞こえないのだ。今喋った言葉も、人間にはただの鳴き声にしか聞こえなかったのだろう。届けたかった言葉が伝えたい相手にだけ届かない。やるせなさが、コールの肩に重くのしかかる。
『でも……あなたが人間って、本当なの?』
 ミミは聞いてきた。コールは頷いた。
『今行方不明って言われてるポケモンレンジャーがいるだろ。あれ、実は僕なんだ。別のタブンネを追っていたら、そいつに襲われて、こんな姿にされてしまった。何をされたのか分からないし、元に戻る方法も分からない。
 だけど、もう一度その子に会えば何か分かるかもしれない。その子がどうしてこんなことをしたのか知りたい。あの子は、僕に任せてほしいんだ』
 こんなことを、ミミに言っても仕方がない。それは分かっている。この決意が、正しいのかどうかも分からない。けれど口に出せば、自分のやるべきこと、望むべきことがはっきり分かる気がした。
 あのタブンネを、助けてあげたい。レンジャーの道具も、自分を証明するものも何も無いけれど、彼女と交わせる言葉がある。あの子を助けるとしたら、今しかない。他のレンジャーが気付いて、彼女に手を伸ばす前に。
 行かない意思表示として、コールは首を振った。フィデルの目をじっと見つめた。タブンネの青い瞳が、思いを伝えてくれればいいと思った。フィデルは、じっとコールの目を見た。人間とポケモンの言葉は通じなくても、彼女は会話しようとしている。
 フィデルは、ゆっくりと目を閉じた。
「他にやるべきことがあるんだね。それも、きみ自身の力で」
 コールは頷いた。フィデルは暫くの後、分かった、と答えた。行き先は一番道路かと聞かれ、コールはまた頷いた。フィデルはモンスターボールの開閉スイッチをコールの方に向けてかざした。
「ボールに入れて連れて行くよ。その方が早いでしょ」
 フィデルはにっと笑った。

 モンスターボールから放たれる赤い光に包まれて、コールの身体はボールの中に吸い込まれていった。ボールはフィデルの腰のベルトに付けられた。ボールの中の空間は広いとは言えないが、地面はふかふかで、眠ることもできそうだった。天井からは外の景色が見えた。自分は今、小さくなっているのか。コールは不思議な気持ちになった。
 町外れ、一番道路の看板が見えたところで、フィデルはコールとミミをモンスターボールから出した。
「これ以上詳しい場所には連れていけないけれど、頑張ってね。私、きみを応援してるから」
 フィデルは言って、満面の笑みを浮かべた。ミミも同じ表情だ。
『二人とも、本当にありがとう』
 コールは言った。そして振りかえろうとした途端、ミミに呼び止められた。
『あなた、フィデルに恋をしてるでしょ』
 ふいに、ミミが呟いた。なぜ分かったと言わんばかりに驚いた顔をして、コールは固まっていた。
『分かるわよ。ずっとぼうっとしてたもの。フィデルのことを見ながら』
 ミミは右手を口元に当てて、穏やかに笑った。
『恋って素敵よ。全てが幸せに見えるんだもの。私もしたことあるわ。一目ぼれで、二度と会うことはないでしょうけど……いつ会ってもいいように、私はいつも恥ずかしくない自分でいたいと思う。だから、あなたもそうであってほしいの』
 ミミは少しだけ目を伏せた。そこに込められている意味は、祈りだけではないのだろう、とコールは悟ってしまった。タブンネの身体は、耳が良く聞こえるようにできている。そして、音から他人の気持ちを知る力も備えている。そんな話を、今になってようやく思い出した。コールの心は、無意識のうちに敏感になっていた。ミミの祈りに、憂いが隠れている。
「どうしたの?」
 フィデルが首を傾げた。コールははっとして、我に返った。いつの間にか憂いの理由を読もうと、膨らんだ想像に囚われていたらしい。コールは首を振った。
『いや、何でもないですよ。行ってきます』
 笑みをフィデルに見せ、振り返った。

 コールは息を切らせながら走っていた。タブンネの足は短い。思ったようなスピードが出ずもどかしい。想像していたよりもずっと長い距離をひたすらに走った。身体の重さに、ひどく負荷がかかる。息がつらい。途中で川を見つけたので、水分を補給した。両手で掬うには手が小さ過ぎたので、顔を直接川の流れに突っ込んだ。砂利が少し口の中に入る。川の中につばを吐き出す。口の中が粘っこい。顔を手で擦る。
「見つけたぞ、タブンネ」
 真後ろから、声が聞こえる。こちらの気を引くためにわざと言ったのか。コールは振り返る。ガタイのいい人間の男が、モンスターボールを持っている。それを投げると、中から光と共にシルエットが浮かび上がり、実体が作り上げられていく。ヒヒダルマ。頭の中で、もうひとりのコールが呟く。自分より少し背の高い、しかし遥かに身体の大きいダルマのようなポケモンがコールを睨んでいた。大きく裂けた口と開かれきった目が異様で、身体がすくんで動けなくなった。
 ヒヒダルマの鼻息が、ぶわぁっと大きく吹きかかる。大きな瞳から目を離せない。両手が震えて止まらない。顔が引きつる。
『ご、ごめん、痛いのはいやなんだ』
正直な気持ちを、口にしてみた。体はタブンネでも、中身は暴力なんて振るうことも振るわれることもない人間だ。逃げよう。一歩、距離を置こうとした。緊張感でふらふらする。倒れないようにしっかり地面を感じながら、後ずさる。
 ふん、とまたヒヒダルマの鼻息。その音はさっきより激しい気がする。
「ヒヒダルマ、ばかぢから」
 後ろのトレーナーが指示を出す。ヒヒダルマが腕を振り上げる。
『知るか』
 その巨大な拳が振り下ろされる直前、ヒヒダルマはそう言った。
 がん。鈍い音が全身に響いた。身体の中身が偏って、空白の部分ができる。頭だ。頭をえげつない力で殴られたのだ。頭にぶつけられた暴力が、全身を揺らした。揺さぶられた身体はバランスを失い、どさりと倒れる。痛みは後からやってきた。衝撃の波が足まで渡り、跳ね返ってまた空白の頭に戻ってきたとき。あぁ、あ、と言葉にならない声が漏れた。息を吸うのが苦しい。小さい呼吸が、だんだん大きな呼吸へ。それに呼応して、頭の痛みはひどさを増していく。我慢できない。言葉にならない声は、叫びへと変わった。
『アンタさぁ、痛がりすぎ。経験値のくせに。頭おかしいんじゃないの?』
 そういえば、とコールは思い出す。ヒヒダルマの声のトーンは、妙に高い。しゃべり方も何だかゴツゴツしてなくて、むしろ意外と柔らかい感じがする、などと気の抜けた考えが脳裏をよぎった。確かに、頭はおかしくなってしまったのだろうな、と心の中で呟いた。現実がそろそろ嫌になってきた。仰向けになってみたら、空が広い。
「戻れ、ヒヒダルマ。……アイツがこんなに弱いはずもないしなぁ、ハズレかよ、くそ、タブンネめ、どこにいやがる、イラつくなぁ、くそっ、あの野郎、タブンネの見分けなんか付くかよチクショウ」
 さっきのトレーナーが、ヒヒダルマをボールに戻してからぶつぶつと呟く。がさがさと草をかき分けて、また何処かへ去っていく。どうやら自分は用済みらしい。待て、一体何がハズレなんだ。
 これがタブンネ狩りか。コールは無性に悲しくなった。ポケモンはバトルをすることで成長のエネルギーを得る事が出来るが、その成長具合は相手の強さと種族によるそうだ。その中でも、タブンネはかなり成長度の高いポケモンと言われ、重宝がられている。
 コールは拳を握った。力の限り、強く。暴力的な痛みを覚えると、どうやらそれは怒りに変化するらしい。拳で地面を打つ。地面は響かず、鈍い音がする。腕に泥がべっとりついてくる。頭のズキズキとする部分から声が響く。お前一人じゃ何もできやしない。肩書も道具もポケモンも無いお前なんか、ただの役立たずだ。牙があったことさえ忘れた家畜だ。フィデルの家で死んだように一生閉じ籠っていればよかったのだ。
『ちくしょう……』
 自分の周りを飛び交う虫の羽音がぶんぶんと煩かったが、どうすることもできなかった。

 何者かの足音が聞こえる。身体を動かすのがおっくうで、目を閉じたまま耳を澄ませた。人工物の固い音ではないことから察するに、人間ではなさそうだ。草を労わるように歩く足音は、コールの方に近づいてきた。
 今、足音の主はコールの真後ろにいる。コールの顔が日陰になる。コールの顔に触れるか触れないかの距離に、それは手をかざす。柔らかい光がぽう、と放たれる。桃色とも、橙色ともつかない光がコールを包む。コールは目を閉じていながら、その光を存分に味わった。まぶたのフィルターを通すと、より自分の身体に取り込まれやすくなる気がした。そうやって、光の一つも逃すまいとしているうちに、身体が楽になっていった。緊張した筋肉がほぐれて、頭の痛みも消えていく。大きく息を吸えるようになる。
 目を開けて、光を放った誰かの正体を確認しようとした。
『大丈夫?』
 彼女は優しい声で語りかけた。コールは目を開けて、体を起こす。彼女の顔を見る。メスのタブンネだった。頭をさすってみると、痛みは引いていた。こぶもできていない。
『ありがとう、もう大丈夫。今のはいやしのはどう? 凄いね』
『ありがとう』
 彼女はにっこり笑って、右手で波動の光を作って見せた。オレンジ色と黄色の混じった光が自己主張する。その光を消すと同時に、彼女の瞳からも光が消えた。
『酷いよね、あいつら。タブンネを倒せばポケモンが早く育つからってさ、あんな風に殴るんだよ』
 人間が去った方向を見据えながら、吐き捨てるように言った。コールは彼女と同じ方向を見つめながら、頷いた。自然と近寄っていき、耳と耳が触れそうになる。
『あぁ、ひどい。でも、人間に復讐するのはもっとひどいとは思わないか。例えば、僕をこんな姿にしたりね』
 コールは真っすぐに彼女を見据えた。流すように、空気に溶け込むように軽く、コールは言葉を放つ。きっと、彼女の心にはその方が引っかかるだろうという気がした。彼女は目を一瞬見開き、あからさまに視線を下に逸らす。さっきよりも陽気な口調で、コールは続けた。
『君を見て一瞬で分かったよ。君が僕をタブンネの姿にしたってこと。あれもわざの一つだろう? 僕の見立てでは、なかまづくりだと思うんだけど、どうかな』
 彼女は下を向いたまま、しばらく固まっていた。
『……ごめんなさい』
 消えて無くなりそうなほど、小さくかすれた声。微かに肩が震えている。全て図星なのだ、とコールは察した。
 再びコールはタブンネに向き合う。そして、小さな腕で彼女を引き寄せた。ふわりとした感触が、全身を伝う。お互いの耳が顔にかかる。耳の下の触角から、彼女の心の音が伝わってくる。不安、怯えの音だ。コールは彼女の触角を自分の頬に当て、心の声を送った。怖がらないで。その想いを心臓に乗せる。
『いいんだよ。その話、詳しく聞かせて貰えないかな。僕の名前はコール。人間の時はポケモンレンジャーをしていた。君の名前は?』
『……モモ』
『いい名前だね』
『そんなんじゃない』
 暫く沈黙が続く。コールはモモの言葉を待った。
『この名前を付けてくれた人間は、凄く嫌な奴だった。あいつは、私をサンドバッグにするために私を育てたんだもの』
 モモは俯き、また顔を上げる。
『野生のポケモンや他のトレーナーと戦わせてくれて、最初はただただ強くなるように育ててくれたんだと思ってた。だけど途中からね、おかしかったの。バトルに出しても指示は出してくれないし、ごはんもあまり食べさせてくれないし。私、毎日あいつの仲間とバトルして殴られてたの。どれだけ攻撃されて痛い思いしても、あいつは何も言ってくれない。反撃したくても、攻撃するための技をいつの間にか全部忘れさせられてた。だから、何とかしたくても何も出来なかった。相手の技を守る方法が分からなかった。忘れさせられてたのよ、全部。毎日殴られて、あいつは私になんて言ったと思う? 「いいぞモモ、よくやった」だって』
 モモの語気が荒くなる。ひどい、とコールは思った。モモは再び、自嘲気味に語る。
『タブンネって倒すと沢山成長できるって言うじゃない? あいつは他の仲間に倒させるために、私を育てたのよ』
 最初にモモの身体に耳の触角が触れた時に流れ込んできたどす黒い感情の意味を知る。自分はこれに怒りを覚えていたのだ。あまりにも理不尽だ、と思った。
『人間なんて、大っ嫌い。あいつらの形を思い出すだけでも、凄く嫌な気持ち。だから、それから会ったトレーナーのポケモンは、ボコボコにしてやったの。でも、そんなことじゃ私の気は収まらなかったのよ。人間に私の気持ちを分かってもらうなら、同じ目に合わせるしかないじゃない』
 モモはぐっと拳を握った。
『それで、僕をこんな姿に?』
 コールは聞く。こくり、とモモは頷く。
 急に、モモの身体は硬直した。口をもごもごと動かしながら、目はどこにも焦点が合わなくなる。その理由を聞こうとしたが、その原因に察しはついていた。声だ。荒っぽく草をかき分けながら、下品に話す声が聞こえたのだ。とても苛立っている様子で、片方は怒鳴り、片方は投げやりな口調だった。
「だーかーらー、一番道路には入って行ったんだろ?」
「そこまでは見たけど、それ以上は分かんねぇよ。森の奥の方へ行ったんだ」
「じゃあこの辺りにいるんじゃねぇか? 早く見つけろよ。そろそろレンジャーの奴らも気付いてんだ。バレたら俺もお前もどうなるか考えても見ろよ。ヤだろ? 分かったらさっさと探せ」
「分かったよ。チッ」
 怒鳴っている方の声には聞き覚えがある。ヒヒダルマを使ってきたあのトレーナーだ。自分を倒した後何処かへ去ったかと思ったが、戻って来たのか。あまり彼の姿を見たくないな、とコールは思った。モモの怯えようからしても、鉢合わせすることは避けたかった。人間達との距離はまだ遠い。コールはモモの肩を抱き、身体を隠せそうな草の陰に連れて行った。何処かへ行ってくれ、と必死に願いながら、草をかき分ける音を聞きとり続ける。自分たちとの方向とは離れていく。
『大丈夫?』
 コールは聞いた。
『大丈夫』
 そうは言ったものの、快調とは言えそうにない顔をしている。モモはその場にしゃがみこんだ。コールもそれに合わせる。
『あいつら、何者?』
『私をバトルのサンドバッグにしたやつと、育てたやつ。何でこんな所に』
 モモの声は震えていた。怒りと恐怖が混じった声を、絞り出すように発する。
『きっと、モモを探しに来たんだ』
 見つからないように、コールは二人の姿を覗き見た。モモは口をぎゅっと固く結んで、視線を落としたままだった。二人の男はそれぞれに草むらをあさっていく。ミネズミが一匹驚いて飛び出したが、そんなものは意にも介さず、手当たり次第に草むらを覗き見ていく。まだコールとモモの隠れている場所とは程遠い。
『よし』
 コールは力強く言った。二人の姿を見ながら巡らせていた思考が、一つの終着点を見つけた。コールはモモの手を両手で力強く取り、彼女の顔を見てにんまりと笑う。モモの視線がゆっくりとコールの方へと向けられる。
『今からさ、あいつらに一泡吹かせてやろうぜ』
『えっ?』
 モモは問い返す。コールは続ける。
『本当に君が許せないのはあいつらなんだろう? だったらあいつらに一泡吹かせてやらなきゃ、意味がないじゃないか。なあに、バチは当たらないさ』
『でも、あいつらの強さは半端じゃない。私なんかすぐにボコボコにされちゃうんだよ。三回もわざ食らったら立ってられないもの』
 モモはコールの手をぎゅっと握った。
『本当は、本当はあいつらに仕返ししてやりたい。でも怖いの。もし失敗して捕まったら、またあそこに戻らなきゃいけない。そういうこと、どうしても考えちゃって止まらないの』
 モモはぎゅっと目をつぶった。彼女の小さな手が震えているのが分かる。だが、コールは胸の内から、その手を止められるほどの勇気がふつふつと湧き上がってくるのを感じていた。
『大丈夫さ。僕がついてる。僕は君を、助けに来たんだ』

 コールは作戦をモモに伝えた。やることは単純で、コールが二人のポケモンを相手取り、二人がバトルに集中している間にモモが後ろから一発かますというものだ。控え目に言えば作戦と言うには程遠いものかもしれない。成功させるには、タイミングと、素早い行動がカギだ。
『本当にコールが囮でいいの? あなたをこれ以上危険な目に合わせるわけにはいかないわ』
 それを聞いて、コールはぐっと目をつぶって笑った。
『いいんだって。イメージトレーニングはばっちりだからさ。君がうまくやってくれたら、どれだけ傷付いても僕は助かる。だから、頼んだよ』
 コールはモモの肩にぽんと手を置いた。
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by junjun-no2 | 2011-08-25 12:15 | 小説
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